パティスリー・ナチュール|國武さん

文:高木亜希子 (あきこ商店) / 写真:KOZI Hayakawa (CUBE ART LAB.)


“おいしい!”が、笑顔を生み出す。

「ケーキ屋になりたい。」きっと、若い頃に憧れた方も多いのではないでしょうか?
学生の頃に抱いた夢を叶えたパティシエ、パティスリーナチュール・國武さんへのインタビュー、始まりです。

少し緊張気味の國武さん。
少し緊張気味の國武さん。

「高校生の頃に、友達の誕生日にみんなでケーキを作った事があります。そうしたら、友達がすごく喜んでくれて。良いなぁと思いました。人を笑顔にする仕事だなぁと。」

國武さんが、「ケーキ屋さん=パティシエ」の仕事に目覚めた瞬間です。高校3年生、まさに進路選択の時期でした。現在も市内で果樹農園を営むお父さんに相談したところ、ツテを頼り、福岡市にあるケーキ屋で就業体験させてもらう機会を得ました。自由登校の時期に毎朝5時の高速バスに乗り、一生懸命、ケーキ屋の下働きに取り組んだそうです。その後、「卒業したら来い」と採用され、卒業2日目には働き始めていました。

パティシエと言えば、子どもたちの「憧れの仕事」です。けれど実際は、朝から晩までまで寝る間も惜しんで働く、とても体力のいる仕事です。夢をかなえてケーキ屋さんに入ったものの、独立するまで続けられずに辞めてしまう人も少なくないと聞きます。

「自分は、本当に不器用な方で、センスがあるわけでもありません。だから、人よりも頑張らないといけないと思って、とにかく努力しました。親にも応援してもらって、自分の道を選ばせてもらったんだから、頑張らなきゃなと思って。」

修行の頃を思い返して。
修行の頃を思い返して。

毎日忙しく働いていた國武さんですが、転機が訪れます。結婚、そして2人の息子の誕生です。自分が農家の息子としてのびのび育って来た國武さんは「息子たちに故郷と呼べる環境を作ってあげたい」と思ったそうです。そこから一念発起、「故郷であるうきは市でケーキ屋を開きたい!」と決意し、大分・玖珠出身の妻へ相談。
無事、「子育てはのびのびと暮らせるところで」という國武さんの考えに賛同してくれました。

「支えてくれる人たちへ、感謝の気持ちで。」

とは言え、故郷を離れ、10年以上の國武さん。「ケーキ屋を開く!」と決意はしたものの、資金調達、物件、宣伝・・・色々な課題が出てきました。すると、國武さんの夢の応援者である家族、そして周囲の知人・友人がサポートしてくれたのだそう。

「今、このお店がある土地のことも、父の知人から口コミで教えてもらいました。自分だけでは見つけるのも厳しかったと思います。開業資金に関しても、地元の信用金庫さんがすごく力になってくれました。」

毎日をひたむきに。
毎日をひたむきに。

土地取得や資金調達以外にも、勤めていたお店のオーナーや、書類手続きでお世話になった社労士さん、そして業務用設備諸々でお世話になった業者さん、友達からも、オープンに向けて色々なアドバイスをもらいました。
「本当にみなさんがいなければ、オープン出来ていなかったと思います。感謝しかないです。」

諸々の課題を乗り越え迎えたオープン初日、「パティスリーナチュール」は折込広告等を出しませんでした。
「集客できるかもしれないが、きちんとした接客がおろそかになってしまう。丁寧に1人1人のお客様に向き合おう。」と考えての決断だったそう。それでも大勢のお客様が来て下さったその初日の事は、今でも鮮明に覚えているそうです。

ご存じの方も多いかと思いますが、うきは市はかなりのスイーツ激戦区。恐さはないのでしょうか?

「危機感はいつも持っています。ケーキはやっぱりごはんみたいに毎日食べなければいけないものじゃないし、自分は技術が特別優れているわけでもないですから。で感謝して、向上心をもって、がむしゃらに頑張らないといけないと思っています。」真剣な表情の國武さんに、覚悟のようなものを感じました。

吉井町・千年小のすぐ近くにある可愛らしい外観のお店。
吉井町・千年小のすぐ近くにある可愛らしい外観のお店。