Case.31

LeRIRO福岡 | 島川大輝さん

うきは拠点のプロラグビーチームを
羽ばたかせるために走り続ける人

文:西村里美(H&Her.) /
写真:Suzuki Akiko

「どうして、うきはで」なのか? 「うきは、だからこそ」なのか?

2022年春、うきはに突如現れたプロラグビーチーム「LeRIRO(ルリーロ)福岡」。その構想が持ち上がったのは前年2021年2月のことだから、わずか1年と2カ月でチームが誕生したのだ。

プロのスポーツチームとは、人口30万人以上の都市から生まれるのが常識らしい。それがなぜ、人口3万人と少しのまち、うきはに誕生したのだろうか。ここにしかない物語にわくわくしながら、「LeRIRO福岡」を運営する株式会社LERIRO代表取締役の島川大輝さんに会いに行った。

熱きラガーマンとの出会いで
うきはの地どっぷりと浸ることに

「すべては、吉瀬(きちぜ)という男から始まったんですよ」

ちょっと困ったような口ぶりとは裏腹に、心底楽しそうな表情で話しはじめる島川さん。吉瀬さんとは、県立浮羽究真館高校ラグビー部で監督を務める、吉瀬晋太郎先生(写真:左)のことだ。


–吉瀬晋太郎先生(左)と島川さん-

もともとラグビー選手で、ラグビーの指導者でもあった島川さん。ある日、国体の選考会で吉瀬先生と遭遇し、若々しく走り回る様子に彼は学生なのか?と勘違い。面白そうなラガーマンがいるもんだと声をかけたそうだ。

その時、吉瀬先生から「浮羽究真館高校を花園で日本一にする!」との宣言があり、その熱さに吸い込まれるように、いつしかうきはに通うようになった。ふたりの縁が結びつき、島川さんのラグビー人生はうきはに向かって転がりはじめる。

高校日本一からプロで日本一へ
「LeRIRO福岡」という、どでかい夢が育つ

「最初の夢は、浮羽究真館高校を全国高等学校ラグビーフットボール大会(通称:花園)で優勝させること。日本一のチームをうきはから出すことでした。それが高校を卒業した生徒たちの未来は? うきはで活躍できる場所はないのか? みんなうきはを出ていってしまうのか?という話にまで飛躍して。最終的にはうきはの子どもたちにどでかい夢を見せてやろうじゃないか!とプロラグビーチームを立ち上げることになったんです」

-久大線がすぐ横を通る練習グラウンドにて-

島川さんと吉瀬先生のふたりの熱を帯びた構想は、うきはの人々や行政を巻き込み、うねりとなり、2022年春「LeRIRO福岡」が発足。チーム名は、うきは市の鳥・カワセミのルリ色の羽根とフランス語で笑いという意味の単語「le rire」をかけたものだ

2022年秋、「LeRIRO福岡」は九州ナンバーワンを決める「トップキュウシュウA」リーグで早くも優勝してしまう。これにはうきはの人々も驚き、大いに笑顔になってくれた。

ただこの優勝も「うれしいですが、あくまで通過点。目標はジャパンラグビー リーグワン(※) への2025年の参入ですから」と島川さん。「それ、やれるの?って100万回くらい質問されるのですが、『やれるのか? ではなく、やるんだ!』と答えています」と笑っている。

「LeRIRO福岡」結成の時も「やれるのか?」の質問の嵐だったことだろう。それでも猛スピードでチームの発足を成し遂げてしまった島川さん。

彼の「やるんだ!」をうきはのみんなは信じている。

※2022年1月に開幕した社会人ラグビーのトップリーグ


誰もが何かに挑戦しやすいうきは

チャレンジにひるむまず、前に進む

今、プロラグビーチームのほとんどは大企業の傘下にあり、選手はその企業で従事しながら活動している。

一方で「LeRIRO福岡」の選手たちの仕事は実にユニークだ。
うきはのフルーツ果樹園で働いたり、地元の農業機械メーカーに就職したり、初めての営業職に奮闘したり。「LeRIRO福岡」の運営スタッフを兼ねた選手もいる。選手の仕事はうきはで応援してくれる方々と島川さんやスタッフが総出で探した。

「ラグビーはチームのために貢献する自己犠牲のスポーツだからでしょうか、選手は仕事に対しても常に本気で取り組んでいます。うきはのみなさんから、すこぶる評判がいいんですよ。またうきはは移住者の方も多く、誰もがいつでも何にでもチャレンジしやすい雰囲気があります。選手にとって初めての仕事にも挑戦しやすい土壌があるのはありがたいですね」

島川さんは「今後は創業ベンチャー型のプロスポーツチームとして新しいしくみも築いていきたいんです」とその先も見つめている。チームへの支援方法は多様で、ITを使った投げ銭システムも導入。思い立った時に500円からの気楽な支援がOKだ。

今、選手たちが練習に励んでいるのは夜のグラウンド。浮羽究真館高校の土の校庭だ。

「選手の身体のためにも、さらに強くなるためにも、早く専用グラウンドで練習できるようになりたいですね」と島川さん。そのためにうきはを起点に周辺エリアへも大きく支援を広げていきたい。

まっすぐに曇りなく、夢を語れる大人は強い。これから「LeRIRO福岡」はうきはの夢を乗せて大舞台に羽ばたいていく。その勇姿を眺めながら一緒に笑っていられるように、応援を続けていきたい。

【チームからのお知らせ】

◆「LeRIRO福岡」ではみなさんからの支援をお願いしています。
「投げ銭」方式やクレジットカード利用など多様で幅広い金額(500円〜)の支援ができます。
詳しくはオフィシャルウェブサイトをご覧ください。

「LeRIRO福岡」のアプリからも支援が可能です。
公式アプリではファンコミュニティへの参加、選手やスタッフとの交流もできます。

LeRIRO福岡(株式会社LERIRO)
住所:福岡県うきは市吉井町18-10
TEL:090-7423-2242
URL:https://leriro-fukuoka.com/schedule

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